法律実務におけるAIの職務行為規範の枠組み

どの法域の職務行為規範も、弁護士に対して十分な能力を備えた法的サービスの提供を求めています。AIの文脈では、この能力には二つの側面があります。実体的な法律業務における能力(AIはこれを補助できても代替はできません)と、AIツールの利用に関する能力(その限界を理解し、出力を監督することを含みます)です。AIシステムが判例の引用を捏造しうることを理解しないままAIで法律上の論点を調査する弁護士は、その規範が求める職業上の能力を発揮したとはいえません。

実務上の含意はこうです。法律実務でAIツールを使う前に、弁護士はそのツールが何を確実に行い何を確実には行えないのか、どのような形で失敗しうるのか、その出力をどう検証するのか、そしてそのデータの取り扱いが守秘義務を満たすのかを理解しておくべきです。これは高すぎるハードルではありません。弁護士がAIツールの技術的アーキテクチャまで理解する必要はなく、法的文脈における実務的な挙動を把握していれば足ります。とはいえこれは理論上のものではなく、現実の義務です。

守秘義務とAI:譲れない一線

法律専門職の秘匿特権(legal professional privilege)と弁護士・依頼者間の守秘義務は、あらゆる専門職の文脈のなかでも最も厳格な守秘義務の一つです。これらは、法律業務にどのようなツールを用いるかにかかわらず適用されます。秘密性のあるメモを口述録音し、そのテープを信頼できない第三者に渡した弁護士は、守秘義務に違反したことになります。データ保護の取り決めが不十分な商用AIツールに、秘密性のある依頼者案件を入力した弁護士も、これと同等の行為をしたことになります。

実務上の基準はこうです。依頼者情報をAIツールに入力する前に、弁護士は次の点について確信を持てなければなりません。AI提供者が入力データを学習その他の目的に利用しないこと、データが安全に保管されること、データ処理条件が適用されるプライバシー法を満たしていること、そしてその利用が依頼者との守秘合意や委任契約と整合していることです。ChatGPT、Claude、Geminiの標準プランを含む多くの一般消費者向け商用AIツールでは、個別の設定やエンタープライズ契約なしにこれらの基準が満たされることはありません。依頼者案件にAIを利用する法律事務所は、消費者向け製品に頼るのではなく、データ保護条件を明示したエンタープライズ契約を締結しなければなりません。

正確性と検証:ハルシネーションがもたらす責任

AIのハルシネーションという問題は、法律実務においてとりわけ深刻です。捏造された法的根拠を裁判所に提出した場合の結果が重大だからです。米国、英国、オーストラリアの裁判所は、存在しない判例をAIが生成した引用として記載した書面を提出した弁護士に制裁を科してきました。捏造された根拠を提出した場合の職務行為上の帰結は、正式な戒告から訴訟費用負担命令、そして最も重い場合には懲戒手続にまで及びます。検証の基準は明確です。裁判所提出書面、法的助言、または専門家意見において引用されるあらゆる法的根拠は、使用前に権威ある情報源、すなわち有料の法令判例データベース、公式判例集、法令データベースに照らして検証されなければなりません。独立した検証を経ていないAI生成の引用に依拠することはできません。

さらに読む:米国法曹協会(ABA)のAIに関する情報

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